眠気覚ましや集中力を上げるために、コーヒーやお茶を飲んでカフェインを摂取する人は多いのではないでしょうか。?
そして同時に、カフェインには耐性があり、いつも飲んでいると効果が少なくなるという話も聞いたことがあると思います。
そこで今回は、カフェインの耐性や遺伝的なことをお話していきます。
カフェインの効果
カフェインの効果として覚醒作用によって集中力を上げることは皆さんもご存じかと思います。これはトレーニング中のパフォーマンスを伸ばすことにも有効です。
他にも脂肪燃焼作用や疲労回復など、カフェインは使い方によってとても役に立つものです。
カフェインの反応の個人差
しかし、個人差とは抽象的な表現で、分解すると大きく二つのものに分けることができます。
カフェイン耐性
多くとっている人ほど反応が弱くなってくる
感受性
遺伝的に反応が良い人と悪い人がいる
カフェインは、摂取してから15分ほどで反応が出てきます。
そこから1~2時間効果が継続し、4時間を超えてくると働きが著しく低下します。
これらの反応や時間が人によって大きく変わります。
カフェイン耐性とは
カフェイン耐性とはどういう状態かというと、「アデノシン受容体」というものが増えてきている状態です。
アデノシン受容体とは?
我々人間は、ATPというエネルギーを使ってADPと無機リン酸に分解する過程で生じるエネルギーを使って身体を動かしています。ATPというのはアデノシンと3つのリン酸でアデノシン三リン酸といいます。
脳内でも常に細胞が活発に動いているので、その結果アデノシンという副産物が少しずつ増えていきます。
アデノシンが先ほど言ったアデノシン受容体という入れ物にくっついた時、人は眠気や疲労感、落ち着き感を感じます。
ですが、そのアデノシンに近い形を持っているものがあり、それが「カフェイン」です。
カフェインを摂取し体内に増えてくると、アデノシンの代わりにカフェインがアデノシン受容体とくっついてしまいます。
そうすると本来感じるはずだった、眠気や疲労感、落ち着き感が感じなくなり、覚醒するというわけです。 この状態が長く続くとアデノシンを代謝することができなくなってしまうので、
アデノシン受容体がもっと必要だ!と思い、アデノシン受容体が増えていきます。
これが先ほど最初に言った、アデノシン受容体が増えている状態です。
アデノシン受容体が増えると、アデノシンとアデノシン受容体もくっつくので、カフェインを摂取していても、覚醒を感じなくなってきます。これが耐性です。
カフェイン耐性がつくまで、どのくらいの摂取量が必要かはさまざまな結論があります。
そのため耐性がついたかは、各々の主観的な感覚値で判断するのが良いでしょう。
アデノシン受容体を増やさないために
では、アデノシン受容体を増やしたくない場合、どのすればいいのでしょうか。
カフェインを一定期間断つ
最低2週間ほどカフェインをゼロにする期間を取ることで、少ない数でアデノシンと反応できるという風に脳に思い込ませることができます。そうすると生理学的な反応として、アデノシン受容体の量が減り、カフェインを摂取したときの反応が良くなります。
短い睡眠を挟む
アデノシンとアデノシン受容体が結合した反応によって、一度短い睡眠をとるとアデノシンの数自体を減らすことができます。そうすると、カフェインを摂取した時の受容体のブロック反応を多く発揮できます。特に集中したい時などは、短い睡眠を挟んでみてはどうでしょうか。実際に大きい企業でも実施しているところが多いようです。
カフェインの感受性を決める2つの遺伝的要因
カフェインの反応に関する文献は意外と少ないのが現状です。
これは、カフェインの働きは遺伝的な要素が大きいため、人数を用意しても安定したデータが取りにくいためです。
遺伝的な要素としては大きく2つあると言われています。
肝臓での代謝スピード(カフェインの代謝)
カフェインを分解して、反応を抑制するためにかかる時間
中枢神経系の感受性(カフェインの過敏症)
中枢神経系がカフェインの刺激によって得られる感受性が低いか高いか
これらの遺伝情報は、調べることが可能です
カフェイン感受性3タイプ
全体的なカフェインの感受性で遺伝的に決まるものは3タイプあるとされています。
タイプ1:高カフェイン感受性
少量のカフェインでも反応が良い 。
睡眠障害にもなりやすく、カフェイン過剰摂取でよくある嘔吐や頭痛などが出てきやすい。
タイプ2:中カフェイン感受性
一般的なカフェイン代謝能力を持っている人。
タイプ3:低カフェイン感受性
カフェインをとっても反応がない。
カフェインのサプリを飲んでも、自分で効果を感じることができない。 このタイプの人はカフェインの摂りすぎに注意。
タイプ3→タイプ2は可能ですが、タイプ3→タイプ1は不可能です。
主観的に自分がどのタイプか知っておくことは大切です。
最後に
カフェインの耐性は、一定の期間でリセットしつつ、自分の遺伝的な強さをなんとなくでも把握しておくことが大切です。
参考文献:
カフェイン耐性におけるアデノシン受容体の役割